令和6年の確定申告の期限ももう僅かとなってきました。そこで2割特例を適用する場合の消費税の申告について非常に簡単にまとめます。
インボイスの登録に伴い消費税の納税義務者となった場合には、課税売上高の2割を消費税の納税額とすることができます。その方法は国税庁のHPにも記載されていますが、簡単に言うと税抜売上の2%を消費税とする方法です。
例えば、売上が税込110万円の場合、納税額は110万円 ➗ 1.1 ✖️ 2% = 2万円となることから、納税額は2万円です。
同様に、 売上が税込550万円の場合、納税額は550万円 ➗ 1.1 ✖️ 2% = 10万円となることから、納税額は10万円です。
確定申告書等作成コーナーで簡単に作れるようになっているので、国税庁の案内を見ながら作成すると良いと思います。
【消費税及び地方消費税の申告書の作成手引き】https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023008-043.pdf
令和6年に初めて申告をする人は以下の2点を注意すべきです。
1.売上の集計期間
令和5年10月1日からインボイス登録により課税事業者となった場合、対象となる売上は令和5年10月1日から令和5年12月31日までのものです。間違えて1年間の売上を集計しないようにしましょう。
2.原則的な方法によるか2割特例か
2割特例を使うと上記の通り消費税の納税額が非常に安く済みますが、原則の方法によって計算をした方が消費税の計算において有利な場合があります。
それは、売上に対して経費が多い場合です。
例えば、令和5年10月から12月までの売上が税込110万円、営業車両や備品の購入で費用が330万円かかったとします。この場合、2割特例を使うと、消費税の納税額は上記の通り、2万円となります。
その一方で、原則的な方法で計算した場合、消費税の計算は受け取った消費税から支払った消費税を差し引く事で計算されます。
つまり、売上が110万円なら受け取った消費税は10万円、支払った消費税は30万円となり、
差し引きすると、10万円ー30万円=▲20万円となり、20万円の還付を税務署から受けられます。
その結果、2割特例を適用した場合と比べて、2万円+20万円=22万円が有利であると言えます。ただし、原則的な方法は消費税の計算が複雑になるため、税理士に報酬を支払ってでも依頼した方が良いでしょう。
しかも、原則か2割特例かの判断を誤った場合、更正の請求をすることができません。すなわち、間違って不利な方で申告してしまうと、そのやり直しは一切認められないという事です。
インボイス登録により課税事業者となった人たちの9割以上は2割特例が有利となるでしょうが、消費税対象期間に設備投資や大量に在庫を買い込んだ事業者の人は注意が必要になりそうです。